50代からのライフプランニング

定年後の暮らしをイメージしてみる

 50歳を過ぎると、ずっと先だと思っていた定年が身近なものとなり、誰しも戸惑いを覚えるものです。定年後の収入は現役時代に比べて大幅に減少するため、生活設計が重要になります。しかし、平均寿命の延びにより、定年後の生活が数十年続くことも考えられます。そのため、定年後の生活を安定させるためには、今から準備を始めることが不可欠です。資金の上乗せや副収入があるかないかで、生活の質に大きな差が生まれるでしょう。例えば、投資や副業、スキルアップなど、定年後に向けた準備を進めることが、経済的な自立を助けます。定年までの期間でできることを検討し、50代からの新たなステージに向けて今から準備しましょう。

定年後の暮らしは「毎月4万~5万の赤字」

 総務省統計局の「家計調査」によれば60歳以上の夫婦世帯では、毎月の支出が約27万円であるのに対し、収入は約22万円で毎月約5万円の赤字が生じています。この赤字は過去10年間にわたり4万~5万円の範囲で推移しており、仮に定年後が25年続く場合トータルで1500万円の不足が生じます。さらに医療費や介護費用の増加・物価上昇などが影響し、定年後の生活はますます厳しくなる可能性があります。政府は「老後2000万円問題」を提起していますが、個々の状況に応じた具体的な資金計画が求められます。安心したセカンドライフを送るためには、早めの準備が欠かせません。

不足額をどのように準備するのか

 定年後の生活に向けて不足額を補うために、最初に考えるべきことは「収入を増やす」ことかもしれません。例えば、アルバイトや副業を始めることで、現在の仕事に加えて収入の柱を増やすことができます。また、保険の見直しや住宅ローンの繰り上げ返済により、支出を減らす方法も考えられます。さらに、資産運用を活用して資産を増やすことも一つの手段ですが、十分な元手がないと株式や投資信託への投資は難しいかもしれません。60歳を過ぎてからも現状と同じ働き方を続けられるかどうかは分からないため、早めに対策を講じることが大切です。

働き続けるには健康であることが条件

 日本の平均寿命は男性81歳、女性87歳。日本は世界的な長寿国といわれていますが、平均寿命と健康寿命の差は決して小さくなく、2023年の“健康寿命”は男性72.6歳、女性75.5歳となっています。つまり男女ともに10年前後にわたって、健康上の問題を抱えながら日常生活を送っていることになります。収入を得るために健康で働き続けることは理想的ですが、もし病気などで働けなくなった場合に備えて、副収入の手段を持っていることは安心材料となります。

定年後は複数の収入源を持つことを目標に

 「ポートフォリオワーク」や「ポートフォリオワーカー」という言葉は聞いたことはあるでしょうか。この概念は、投資の世界で使われる「ポートフォリオ」に由来し、リスク分散の考え方を仕事に応用したものです。ひとつの収入源に依存することなく、複数の収入源を持つことで、経済的な安定性を高めると同時に、充実感も得られます。特に定年後や退職後には、ポートフォリオワークの重要性が高まります。年金や貯金だけでは生活が不安定になりがちな中、複数の収入源を持つことは安心感を与え、生活の質を向上させる手段となります。

 男性の平均寿命を基にした「時間消費」のシミュレーションにおいて、「大学卒業後から定年まで働く時間」と「定年後の自由時間」がほぼ等しいことに驚く方は多いでしょう。これは、人生の後半における自由な時間が、働くための時間と同じくらい長くなることを示唆しています。もちろん、定年後の健康状態・体力や気力の衰えなどに変化はありますが、時間の使い方という視点から見ると、定年後の時間をどう有意義に過ごすかを考えることが、充実したセカンドライフに繋がると言えるでしょう。例えば、定年後に旅行を楽しむ、趣味に没頭する、学び続けるなど、自由な時間をどのように使うかで人生の質は大きく変わります。そのため、働く時間をどれほど充実させるかと同様に、定年後の時間の使い方にも真剣に向き合う必要があります。ライフプランを立てる際には、働く時間と自由時間をどちらも重要な要素として考慮し、長期的な視点でバランスを取ることが求められます。人生の後半をどう過ごすかを早期に意識することで、より有意義な生活を送る準備ができると言えるでしょう。

 

早めの準備で安心のセカンドライフを手に入れる

 リタイア後の収入は、一般的に現役時代と比べて大幅にダウンします。自分らしく豊かなセカンドライフを送るための備えを準備できるかどうかは、多くの人にとって気になるところです。まずは、定年後の暮らしを具体的に思い描き、支出を見積もってみるところからはじめてみましょう。そして、その支出を支えるために必要な金額を、定年までの期間で準備する計画を立てます。不足額があっても焦る必要はありません、今から対策をしていきましょう。私たち団塊ジュニア世代が老後を豊かに過ごすためには、経済的な基盤と生きがいが大変重要になります。ライフプランを立てて必要な資金を把握し、年金や貯蓄で不足額が出る場合は副収入を視野に入れ、どのようなプランが可能かどうか一緒に検討してければ幸いでございます。

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