団塊ジュニアと空き家問題


相続=資産増加とは限らない

 多くの方が誤解しているのは、「相続すれば資産が増える」というイメージです。しかし実際には、相続財産の多くを占めるのが不動産です。団塊世代は持ち家率が高く、地方や郊外に戸建て住宅を所有しているケースが一般的です。

 問題は、その不動産が「築年数が古い」「需要が少ない立地」「解体費用が高額」といった条件を抱えている場合です。このようなケースでは、固定資産税や維持管理費だけがかかり続け、売却も難しい「負担型資産」になる可能性があります。相続は“資産承継”であると同時に、“リスク承継”でもあるのです。

 団塊世代が後期高齢者となり、相続件数は今後もしばらく高水準で推移すると見込まれています。そして、その中心で相続人となるのが、現在50代前後の団塊ジュニア世代です。「実家を相続することになりそうだが、どう考えればいいのか」「不動産を残されても活用できる気がしない」「相続後の老後資金設計が不安」といったご相談が急増しています。

50代は、家計の転換点

 団塊ジュニア世代は、家計の転換期にあります。「住宅ローン返済中」「教育費のピーク」「老後資金準備の開始」「親の介護リスク」。このタイミングで相続が発生すると、資産全体のバランスを再設計する必要が出てきます。例えば「実家を売却して住宅ローンを圧縮する」「現金化して老後資金に充てる」「保有を選び、賃貸運用を検討する」などの選択肢はありますが、「正解」は家庭ごとに異なります。

 また、相続登記の義務化により、兄弟姉妹で共有登記をするケースも増えるでしょう。しかし共有は、売却に全員の同意が必要であったり、一部が連絡不通になるリスクや、次世代への権利分散といった将来的な複雑化を招きます。また、相続後に最も多く生じる問題が「空き家化」です。実家をすぐに活用できない、売れない、あるいは感情的に手放せない・・・その結果、管理されないまま時間だけが過ぎていきます。

 総務省の統計でも、全国の空き家は増加傾向にあります。特に地方都市や郊外では、人口減少と高齢化が同時進行しており、住宅需要そのものが縮小しています。つまり、「家はあるが、住む人がいない」という構造的問題が広がっているのです。

 空き家を放置すると、老朽化が進み、倒壊や景観悪化、近隣トラブルの原因になります。雑草の繁茂、不法投棄、害獣被害など、所有者の管理責任は決して軽くありません。

 2015年には空家等対策の推進に関する特別措置法が施行され、適切に管理されない空き家は「特定空家」に指定される可能性があります。特定空家に指定されると、固定資産税の住宅用地特例が解除され、税負担が大きく増えることもあります。つまり、空き家は「持っているだけで安心」な存在ではなくなっているのです。

感情と合理性のはざまで

 実家の相続には、単なる資産価値だけでは測れない感情が伴います。「子どもの頃の思い出が詰まっている」「親が大切にしていた家を手放してよいのか」。このような葛藤は自然なものです。

 しかし一方で、維持費や将来の修繕費、解体費を冷静に試算すると、保有コストが数百万円単位に及ぶことも珍しくありません。特に地方の木造戸建てでは、売却価格より解体費のほうが高くなるケースさえあります。

 ここで重要なのは、「感情を否定する」のではなく、「時間軸を広げて考える」ことです。今は判断できなくても、「いつまで保有するのか」「誰が管理するのか」「5年後にどうするのか」といった期限付きの戦略を持つだけで、選択は整理されます。

放置が最大のリスク

 空き家問題で最も避けるべきなのは、「何も決めない」ことです。相続登記をせず、共有状態のまま放置する。固定資産税だけを払い続ける。こうした状況が10年、20年と続くと、権利関係はさらに複雑になります。相続人が亡くなり、その子世代へと権利が細分化されれば、名義人が10人以上になることも珍しくありません。

 こうなると、売却は事実上困難になります。さらに、2024年からは相続登記が義務化され、正当な理由なく放置すると過料の対象になる可能性もあります。制度面からも「放置」は選択肢ではなくなりつつあります。

空き家は“個人問題”であり“社会問題”

 人口減少社会において、住宅は余り始めています。かつては「家を持つこと」が豊かさの象徴でした。しかしこれからは、「どう手放すか」「どう循環させるか」が問われる時代です。

 空き家は、個人にとっては家計リスクであり、地域にとっては社会課題です。だからこそ、相続を単なる“財産の移転”ではなく、“次世代への責任の引き継ぎ”として考える必要があります。

 相続=資産増加、とは限らない。むしろ、何も考えなければ「負担増加」になる可能性もあります。大切なのは、早めに選択肢を整理することです。50代は自分自身の老後設計も本格化する時期です。実家の問題は「親の問題」ではなく、「自分の資産戦略の一部」として捉える必要があります。空き家を「問題」にするのか、「資産」に変えるのか。その分岐点は、相続が発生した“その瞬間”ではなく、今このときの備えにあると思います。

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