相続した実家を兄弟で共同所有したことでトラブルに!?

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不動産の共有が原因で空き家に?

 親の遺産として実家の不動産を相続する際、兄弟姉妹で共有名義にすることを考える方も多いかと思いますが、不動産の共有は避けた方が賢明です。共有名義にすると、売却や利用の際に意見が対立する可能性が高く、長期的な管理にも手間がかかります。特に、将来的な相続が重なるとさらに複雑になる恐れもあります。

 平等な分割を目指すことは重要ですが、不動産をどう扱うかは慎重に検討し、単独所有にすることが望ましいです。現在の相続人であるご兄弟は仲がよく、相続の問題は起きないかもしれませんが、子供の代、孫の代と世代が替わっていくとどうでしょう。年月を経ていくと共通名義となった不動産は代々受け継がれていき、不動産の共有名義は膨大な数となります。

 親族の関係は疎遠になっていくのが世の常です。疎遠になれば音信不通になる場合も出てきます。そうなれば意思疎通はますます難航し、その不動産を有効に活用できなくなり、空き家になってしまうのです。

分割するにはどのような方法があるのか

相続時に活用できる方法として、

①自宅の土地・建物を分筆するなどして3等分して相続する(現物分割)
②相続人である兄弟の誰かが自宅を買い取って相続し、他の相続人に代償金を支払う(代償分割)
③相続した不動産のすべてを売却し金銭で分配する(換価分割)という選択肢が考えられます。

 もっとも①の現物分割をするには自宅にある程度の広さが必要になるため、現実的ではない場合が多いでしょう。また、②代償分割をするには、自宅を買い取るだけの資力が必要になります。そうなると、③の換価分割が現実的と思われます。しかし、実家に対する思い入れは兄弟ごとに異なるため、「お金は払えないが、売りたくないし、他人に貸すのも嫌だ」といった意見が出ることがあります。

 このような場合、何も決められずに家が空き家のままとなり、時間だけが過ぎてしまいます。最近では、不動産を共有名義にした結果、意見が一致せずに売却や賃貸活用ができないまま、毎年固定資産税や維持管理費がかかる“負動産”となる事例が増えてきているのが現状です。

不動産を”とりあえず均等に分割”は危険です

 不動産は一度名義変更をしてしまうと、以前の状態にもどすこと(やり直し)はとても難しいです。そのため相続が発生した段階で相続不動産を今後どうしていきたいかを相続人間で明確にしておかなければなりません。相続が開始した際に、相続人の間で方向性が決まっているのであれば、その内容に従って手続きを行えばよいですが、何も決まっておらず「とりあえず」の感覚で、法定相続分で登記申請をしてしまうことは避けるべきです。

 説明してきたように、不動産を共有で所有することのデメリットは非常に大きいです。一度共有化した名義を元に戻すのも難しいことも含めて、不動産を相続する場合は、相続人の間で、不動産の今後の在り方をしっかり協議し、協議した内容に従って、手続きを進めていかなければなりません。共有化することで今後どのような問題が発生するのか、自分達だけではそのリスクは見えにくいと思いますので、やはりプロにご相談いただくべきだと思います。

意見がまとまらない場合は期間を決めて賃貸活用を

 共有者間で意見がまとまらない場合、空き家を放置するよりも賃貸活用を検討する方法があります。賃貸契約の一つである「定期建物賃貸借」を利用すれば、期間を決めて家を貸し出すことができ、固定資産税や維持費の負担を軽減できます。これにより、空き家が無駄に放置されることを防ぎ、共有者の合意が得られない場合でも一定の収益を得ることが可能になります。定期建物賃貸借契約の詳細は別のコラムで解説します。

 セカンドプラスでは、実家の空き家を賃貸物件として有効活用する方法をご提案しています。資産を最大限に活かし、将来的に家賃収入によって生活の安定や老後の資産形成に繋がるために様々なアドバイスやご提案を行っております。空き家の活用に困っている方・関心のある方は、無料の空き家現地調査を行っております。お気軽にご相談ください。


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