固定資産税が6倍?
「空き家を持っているだけで、固定資産税が6倍になるらしい」——こうした話を耳にして、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。結論から申し上げると、この話は完全な誤解ではありません。
ただし、すべての空き家が一律に増税されるわけではなく、一定の条件に該当した場合に限られます。そして近年の法改正によって、その条件が広がっている点が重要です。

そもそも固定資産税はなぜ安くなるのか
まず前提として、日本の住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」という優遇制度があります。この制度により、住宅が存在する土地の固定資産税は最大で6分の1まで軽減されます。これは住宅供給を促進する政策の一環であり、「人が住む建物がある土地」は税制上優遇される仕組みになっています。
逆に言えば、この特例が適用されなくなると、税額が大幅に上がることになります。いわゆる「固定資産税が6倍になる」というのは、税率そのものが変わるのではなく、この特例が解除されることで結果的に税額が大きく増えることを指しています。
これまでは「特定空き家」だけが対象でした
従来、この住宅用地特例が解除されるのは「特定空き家」に指定された場合に限られていました。特定空き家とは、倒壊の危険がある、衛生上問題がある、景観を著しく損なっているなど、周囲に悪影響を及ぼす状態の空き家を指します。
自治体による調査や指導を経て、最終的に「勧告」が出されると、特例の対象から外されます。そのため、相当深刻な状態まで放置しない限り、税負担が急激に増えるケースは多くありませんでした。しかし、この状況は2023年の法改正によって大きく変わりました。改正された空家等対策特別措置法では、新たに「管理不全空き家」という区分が設けられています。
管理不全空き家とは、現時点では特定空き家ほど深刻ではないものの、このまま放置すれば問題化する可能性が高い空き家を指します。そして重要なのは、この管理不全空き家についても、指導や勧告を受けた場合には住宅用地特例が解除される点です。
つまり、これまでは「かなり危険な状態」にならないと増税対象になりませんでしたが、今後は「管理が不十分」と判断される段階でも対象になる可能性があります。その結果、固定資産税が大幅に増えるリスクは、これまでより広い範囲に及ぶようになりました。

税額が上がるまでの流れ
制度が変わったとはいえ、いきなり税金が上がるわけではありません。実際には、次のような段階を経て進みます。まず自治体が空き家の状況を調査し、管理不全空き家または特定空き家に該当すると判断します。
その後、所有者に対して指導や助言が行われます。それでも改善が見られない場合、「勧告」が出され、この段階で住宅用地特例が解除されます。そして、翌年度の固定資産税から増額が反映される仕組みです。このように、一定の猶予期間や改善の機会は設けられているものの、対応しなければ確実に税負担が増える点には注意が必要です。
所有者が検討すべき3つの選択肢
空き家を所有している場合、今後の対応としては主に3つの選択肢が考えられます。1つ目は、適切に管理を続けることです。定期的な清掃や修繕を行い、問題のない状態を維持する方法です。コストは比較的抑えられますが、継続的な手間がかかります。
2つ目は、空き家を活用することです。賃貸として貸し出したりすることで、資産として活かすことができます。3つ目は、売却や解体を検討することです。今後利用する予定がない場合は、早めに手放すことでリスクを減らすことができます。特に相続した空き家については、税制上の優遇措置が用意されているケースもあります。
まとめ
空き家の固定資産税が上がるかどうかは、「条件による」というのが正確な答えです。そして、その条件は近年の法改正によって確実に広がっています。特に2023年の改正により、「管理不全」という段階でも増税対象になり得る点は見逃せません。これは、空き家問題への対策を強化し、早期の対応を促すための制度変更といえます。
今後は「とりあえず所有しておく」という状態が、かえってリスクになる可能性もあります。空き家は放置すれば負担となり、適切に活用すれば資産にもなります。制度が変わった今こそ、ご自身の空き家について、どのように扱うべきかを改めて検討してみてはいかがでしょうか。


