空き家税とは何か
空き家税とは、使われていない住宅、いわゆる「空き家」を所有している人に対して新たに課される税金です。従来の固定資産税や都市計画税に加えて課税される制度で、日本では京都市が初めて導入を決定しました。正式名称は「非居住住宅利活用促進税」といい、将来的には全国の自治体にも広がる可能性があるため、空き家を持つ人は注意が必要です。

京都市が導入した背景と目的
京都市が空き家税(非居住住宅利活用促進税)を導入した背景には、急増する別荘・セカンドハウス・空き家の存在が、市内で住宅を必要とする人々への供給を妨げているという深刻な問題があります。加えて、空き家の増加は、防災・防犯対策の遅れや地域コミュニティの活力低下といった、さまざまな社会課題の要因となっています。
こうした課題に対応するため、京都市では非居住住宅の所有者に対して、受けている公共サービスの恩恵(受益)や、地域社会に与えている負担(社会的費用)、さらにはその人の経済的負担能力(担税力)に見合った新たな税負担を求めることとしました。
この税により、非居住住宅の売却や賃貸などの流通・利活用を促進し、空き家の発生を抑制。あわせて、防災・防犯面での社会的コストを削減し、持続可能なまちづくりの実現を目指すことが、京都市における空き家税導入の大きな目的です。
京都市がこの税制度を導入する最大の目的は、若年層の市外流出の防止です。市内では空き家が増加しており、それが原因で若い世代が住宅を購入・賃貸しづらくなっています。
空き家税を導入することで、所有者に住宅の売却や利活用を促し、空き家を減らして市内に住める人を増やす狙いがあります。つまり、空き家を放置することで地域社会に与える悪影響を是正し、住宅の有効活用を推進するのが狙いです。

課税の開始時期と対象
京都市の空き家税は、2029年(令和11年度)から課税開始予定です。導入にあたっては、2022年3月に市議会で可決され、2023年3月には総務大臣との協議でも正式な同意を得ており、制度の実施が決定しています。
課税対象は、市街化区域内にある「非居住住宅」です。これは住民票の有無ではなく、実際に人が生活しているかどうか、つまり「居住の実態」があるかを基準に判断されます。また、空き家であっても特定の事情がある場合には、課税が免除されるケースもあります。
今後の見通し
京都市の取り組みは全国的にも注目を集めており、同様の課税制度が他の自治体にも波及する可能性があります。特に地方都市では空き家の増加が社会問題となっているため、京都市の空き家税が成功事例となれば、各地で導入が加速するかもしれません。
そのため、空き家を所有している人は、今後の動向に注意し、不要な住宅の売却や活用方法の見直しを進めることが重要です。放置すれば思わぬ税負担が発生する可能性があるため、早めの対応が望まれます。


