再建築不可の物件は賃貸活用がおすすめ
「再建築不可物件」とは、その名の通り更地にしてしまうと新しく建築ができない物件のことです。東京23区でも、約5%の住宅が再建築不可物件にあたると言われています。ただ、元々建っている建物を活用し、利益を得ることに関しては、これといって制限されていません。そのため、貸し出せる状態を保っている戸建て物件があれば、賃貸経営を行うことは可能です。
また、再建築不可物件には、都市部の住宅密集地などの立地にある物件も多いですので最寄り駅も近いとなれば、戸建て賃貸の需要はあると判断できます。もちろん、多少はリフォームも必要ですが、大幅に建物の用途を変更するリフォームでなければ、再建築不可物件でも実施することは可能です。

再建築不可の物件とは?
再建築不可物件とは、その名の通り、再建築が不可能な物件のことです。大きく分けて4つあります。
①敷地の上空に17万ボルト以上の高圧線がある場合。高圧線の真下での建築には厳しい制限があり、電力会社や行政の指導により建て替えが認められないケースがあります。これは安全性や送電設備保護の観点から定められているもので、敷地が高圧線の保護区域に該当すると建替え工事は原則NGとなります。
②既存不適格物件。建築当時の法律と現在の建築基準法の間に何らかの理由で隔たりがあり、現在の建築基準法では同じ建物を建てることができない場合です。建築当時には適法だった建物が、後年の法改正によって現行法の基準に合わなくなった状態です。耐震性や防火性能、接道義務などの問題が生じているケースが多く、同一規模の建物を建て直すことができません。
③その物件が市街化調整区域にある場合。都市計画法で指定されている都市計画区域の一つで市街化調整区域と市街化区域に分けられる市街化調整区域にある場合です。市街化区域は都市の活性化のための地域であるが、反対に市街化調整区域は無秩序な都市の拡大を防ぐためにあまり開発しない地域であり、新築や増改築する場合は自治体の許可が必要になります。そのため、市街化調整区域では建物の建設に多くの制約があり、建物の建設が困難となります。
④接道義務違反の場合。多くのケースがこの4つ目の問題です。道路に面していないため、建物の建て替えができないなどです。建築基準法には「接道義務」と呼ばれる規定があります。接道義務とは、都市計画区域内で建物を建てる場合、原則として幅員4m(特定行政庁が幅員6m以上の道路を道路として扱う地域は6m)の道路に2m以上接していない敷地には建物を建ててはいけないというもので、建築基準法ではこの接道義務を定めています。また、建築基準法では接道義務の対象となる道路も定められています。

建築基準法の改正で大規模なリフォームが困難に?
2025年度の建築基準法改正で大きく変わることは「4号特例」が縮小することです。4号特例とは、都市計画区域内の一定の広さの木造平屋建てや2階建て(4号建築物)の建築確認における審査省略制度です。今まではこの制度によって4号建築物の新築や増築、改築などの審査は一部省略されており、大規模なリフォームについては建築確認が不要とされていました。
しかし、2025年4月からは2階以上または延べ面積200㎡以上の戸建ては審査省略制度の対象外となり、*大規模なリフォームも建築確認が必要になります。2025年4月から確認申請が必要になる大規模なリフォームとは、具体的には主要構造部の一種以上の過半を超える修繕・模様替えです。たとえば、柱・梁だけを残したスケルトンリフォーム、階段の位置を変えるリフォーム、屋根や外壁の過半以上を変えるリフォームなどがこれに該当します。
今までは柱1本残してほぼ新築ということが可能でしたが、法改正後はスケルトンリフォームを含む大規模な修繕等は建築確認申請が必要となり、再建築不可物件は確認申請ができないため、大規模な修繕はできなくなります。
*国土交通省のお知らせ

再建築不可の物件はどこまでリフォームできるのか
気になるのが再建築不可物件のリフォームですが、前項でも触れたとおり、大規模な修繕には2025年4月から、これまで必要なかった確認申請が必要になります。しかし、キッチンや浴室の交換・壁紙の張り替えなど小規模なリフォームについては、2025年度以降も確認申請は不要です。
主要構造部にかかわらない設備の入れ替えや内装をキレイにする程度のリフォームは大規模な修繕にあたりません。そのため、再建築不可物件であっても通常と同じようにリフォームを行うことができます。
親から相続した再建築不可の物件でも、貸し出すことが可能な状態であれば、少し手を加えることで収益を生み出す資産に変える可能性は十分にあります。賃貸需要がある地域であれば賃貸コンセプトや設備等の改善を行うことで、再建築不可でも、工夫次第で長期的な収益源に変えることが可能です。